平成30年年度 香川県議会6月定例会 一般質問(7月9日)
前文
1.香川県高等学校等奨学金の遅延利息について
2.県営住宅の入居におけるDV被害者と犯罪被害者への対応について
3.生活困窮の方々への住宅提供について
4.里親登録促進と里親支援について
5.一時保護及び措置中にある子どもの実親の支援について
6.自動自立支援施施設退所後の支援について
前文の内容は以下
今年の2月の半ば、ある25歳の女の子から、住むとこを探したいのでお金を貸してください。とラインが届きました。
久しぶりに会った彼女は、5歳の子の手を握り、0歳の子を抱っこしていました。内縁の夫の暴力から逃げ、子ども二人と暮らす場所を探し、色々転々としている、市役所で生活保護の申請をしたいのだが、窓口で申請には住所を確定してください、と言われ、すぐに住むところが必要なのだとのことでした。それから何度も市役所に足を運び、住所特定はできないままとりあえず申請は受け付けてくれ、その足で高松自立支援センターに行きつなぎ融資をしてもらい、次は住む場所。県営住宅にDV被害者の枠組みで入居できないか、警察の持つDV被害者等へのホテル提供の枠組みでしばらくホテルに生活できないか、一時保護はどうか、いろいろあたりましたが、なかなか制度に当てはまらず、住居探しは本当に困難でした。結局知り合いの経営者の方が社員寮の空き部屋をしばらく提供下さいました。
そして、その寮で暮らし始めた矢先、彼女は初めて、数ヶ月だけ通った高校の奨学金の延滞があることを知り、利息を含めると40万円を超える債務となっていました。生活保護受給者は受給の間返済が猶予されるとのことだったので、すぐ手続きに行き、今は返済が猶予されている状況ですが、今後自立した月から、40万円の返済が始まります。
私が彼女と出会ったのは、彼女が5歳の頃、私が児童養護施設で学習ボランティアをしていた頃でした。その後私は転居し、7年後高松に戻ったとき、彼女と再会したのは彼女が児童自立支援施設の指導学園で生活していたときでした。その後彼女は、措置を解除され親元に帰りましたが、バイト先に会いに行くとすぐに居場所がわからなくなっていました。それから数年後赤ちゃんを抱いた彼女に会い交流が続いたのですが、ある日、夫の暴力から逃げたいと連絡があり、親子で児童相談所に一時保護してもらいました。
しかしその後、結局もとの夫のもとに戻りもう一人出産をするのです。一般的には、どうしてそうなるの、と思うかもしれないけれど、彼女は、乳児の時から乳児院で育ち、家庭で暮らしたことはありません。措置解除され、実親と初めて生活を共にするも、結局母親の帰らない公営住宅で一人きりで過ごしていたと言います。施設で育った中卒の女の子が1人ぼっちの環境にいれば、頼れる誰かが必要で、生活するお金をくれる誰かが必要だったその状況は想像に難しくありません。 彼女のように、施設等で暮らす子ども達は、現在毎年約200人。そして虐待等で一時保護される子ども達は昨年度278人。決して少なくない数の子ども達が社会的養護を必要としています。
今回は、彼女のような社会的養護の必要な子ども達を全力で社会が育み、その一人一人が暮らし方、自立の仕方を自ら選択できるようにするためには、どの仕組みをどのように変えていけばいいのか、ともに考えたいと思います。